テボルムの意味と食べ物の風習

旧暦の1月15日は、韓国で「정월대보름 ジョンウォルデボルム」という節句の日です。日本は新暦に変わりましたが、小正月と呼ばれている日です。
ハングルは、正月大満月という意味。정월(ジョンウォル=正月)+대(テ=大)+보름(ボルム=15日/満月)に当たります。
その年で最初に訪れる満月の日として、大きくて明るい月を見ながら、元気になるご飯を食べて、その年の健康を祈ります。
食事としては、五穀飯やナムル、ナッツ類を食べる文化があります。辞書では下記のように書いてあります。
한국의 명절의 하나. 음력 1월 15일로 달을 보며 소원을 빌기도 하고 오곡밥, 견과류 등을 먹는 풍습이 있다.
韓国の節日の一。陰暦1月15日で、この日はお月見をしながら願い事を言ったり、五つの穀物で炊いご飯や堅果類などを食べる風習がある。
辞書には載ってないですが、ナムルも食べます。5種や10種のいろんな野菜のナムルが用意されるので、ナムル好きの私には嬉しい日でした。(韓国に住んでいた時は作る側ではなく、食べる側ということもあったので…)
知らなかったのですが、日本でも小正月の日に小豆粥やお餅を食べる文化があるようですね。韓国では旧正月、チュソク(お盆)などの5大節日のひとつとして、五穀ご飯やナムルを食べる風習が結構残っています。
では、韓国人の人気レシピ動画と合わせて、小正月に食べる代表的なお料理とレシピを紹介します!
ボルムナムルのレシピ
小正月のテボルムに食べるナムルを、ボルムナムル(보름나물)と言います。
基本、乾かした野菜で作るので、茶色のナムルが多いです。
下記2つのレシピ動画が良かったので要約してお届けします。
ベテラン主婦の10種ナムル
最近のお気に入りでよく紹介しているベテラン主婦の人気レシピチ
10種ナムルは、下記の野菜で作ります。
- ・취나물(チゥィナムル):シラヤマギク
- ・머위 잎(モウィ イプ):フキの葉
- ・토란(トラン):サトイモの茎 ※토란대(トランデ)とも言う
- ・무청(ムチョン):大根の葉
- ・가지(カジ):ナス
- ・무(ム):大根
- ・호박(ホバク):カボチャ
- ・고구마줄기(コグマ ジュルギ):サツマイモの茎
- ・고사리(コサリ):ワラビ
- ・피마자(ピマジャ):ヒマシ ※아주까리(アジュカリ)とも言う
上記は映像の始まりで出来上がったものを伝えている順番ですが、作る時には順番が少し違います。左上に野菜の名前が書いてあるので参考にしてください。
※YouTube動画が正しく表示されないことがありますが、その際はリロードをお願いします。
■ 乾かした野菜の戻し方
① 一日、水につけておいてから、10~20分茹でる ※乾燥度合いによって時間調整
② 茹でたあとは、水切りをせず、鍋に入れたまま冷ます
③ 冷めたら、綺麗に何度か水洗いする
■ナムルの基本レシピ
① 魚醤(醤油)+塩+ごま油(エゴマ油、サラダ油OK)+みじん切りのにんにくを加えて、手でまんべんなく和える
② 少し炒めてから、出汁を加えて、野菜が柔らかくなるまで炒める。(※野菜によってえごまの粉を後半に追加)
③ 少し冷ました後、ごまをたっぷり、ごま油少しを入れて混ぜて完成
■ナムルの味付け
・出汁:昆布+玉ねぎ
・塩加減:魚醤 or 醤油+塩
・炒める時:サラダ油 or ごま油 or エゴマ油
・お好みで牛肉出汁のダシダを追加 ※ダシダなど韓国の調味料について
・サツマイモの茎は、味が薄いので、みじん切りの貝を追加
・えごまの粉は、味や香りの薄い野菜に入れる。大根の葉、サツマイモの茎、サトイモの茎に追加。
大根以外は、乾かした野菜で作るナムルです。日本では手に入らないものが多いですね…
乾かした野菜、そのナムルを「건나물 コンナムル」「묵은나물 ムグンナムル」と言います。
人気料理研究家の5種ナムル
下記は、이종임(イ・ジョンイム)という有名な料理研究家のレシピチャンネルです。手を怪我したようで、可愛い娘さんが料理しています~。
5種ナムルは、下記の野菜で作ります。
- ・무(ム):大根
- ・취나물(チゥィナムル):シラヤマギク
- ・고사리(コサリ):ワラビ
- ・시래기(シレギ):大根(白菜)の葉を乾かしたもの
- ・호박오가리(ホバク オガリ):薄切りのカボチャを乾かしたもの
시래기(シレギ)は1番目のレシピで紹介した大根の葉の무청(ムチョン)を乾かしたものの名称なので、上記5つのナムルは1番目のレシピで紹介したナムルにすべて入っています。シレギについては、カムジャタンの種類に関するこちらの記事でも紹介しています。
簡単に作りやすく、大根以外の野菜は、ひとつのヤンニョムジャン(=タレ)で作っています。1番目のレシピと同様に、下記タレを少し入れて味付けしてから、油で炒める流れです。炒める時に出汁ではなく、手軽に水を追加して作ります。
■共有ヤンニョムジャン(タレ)のレシピ
醤油 大さじ6
長ねぎ(みじん切り) 大さじ6
にんにく(みじん切り) 大さじ3
ごま塩(煎りごま+塩少し)大さじ2
エゴマ油 大さじ2
砂糖 大さじ1/2 ※乾かした野菜の苦味が取れる
乾かした野菜は基本茹でますが、カボチャだけ茹でず、温かい水に40~50分くらいつけるだけで良いとのことです。使われているカボチャはズッキーニに近い種類のものです。
大根のナムルだけ作り方が違いますが、作り方を要約すると、
■大根ナムルのレシピ
① 大根400gを3mmの厚さに千切りし、塩 大さじ1/2で揉んで15~20分おく。しっかり水気を切る
② 鍋にサラダ油 大さじ1+エゴマ油 大さじ1/3(3:1の割合)をひいて、大根を2分ほど炒める
③ 水1/2カップ+ネギ 大さじ1+にんにく 小さじ1+砂糖 小さじ1/2+生姜汁 小さじ1を加えて蓋をして3分ほど蒸す
④ 仕上げにごま塩 適量、ごま油 小さじ1を混ぜ合わせて完成
こちらのレシピで紹介した作り方に近いです。大根を塩もみしてから炒めると、食感がよく大根の形が崩れない長所があります。
大根ナムルは、日本でも作りやすくてすごく美味しいので、おすすめです。
五穀飯のレシピ
テボルムといえば、五穀ご飯! 韓国語では、오곡밥(オゴクパプ)と言いますが、辞書には下記のように紹介されています。
찹쌀, 찰수수, 기장, 붉은팥, 검은콩 등 다섯 가지 곡식을 섞어서 지은 밥이다. 음력 정월 대보름에 한해의 무사태평과 풍년을 기원하며 여러 사람이 함께 나누어 먹던 음식이다.
もち米、モチキビ、キビ、赤小豆、黒豆の5種類の穀物を混ぜて炊いたご飯。小正月に1年の安泰と豊作を祈願し、多くの人が分け合って食べた料理。
基本入る穀物は「もち米、モチキビ(あわ)、キビ、赤小豆、黒豆」ですが、下記のレシピのように銀杏や栗を入れたりも♪
美味しそうな人気レシピ動画2つを紹介します。
圧力鍋で作る五穀飯
ナムルの1番目レシピ動画と同じ方のレシピです。最近は圧力鍋で作る人が多いです~。
■材料
・もち米:お米は3:1の割合、計6カップ
・アワ1カップ、モチアワ1カップ、キビ1/2カップ
・豆はお好みの量で
・小豆1/3カップ ※茹でる
・栗2つかみ
※基本、水に30分以上つけておく。豆類は前日から長めに
■調味料(大さじ)
塩1、砂糖1、ごま油2 ※炊く前に入れる
慶尚道(キョンサンド)という地域の方で、方言なので時々聞き取れないことがあります…
この地域では、五穀ご飯を韓国のりで巻いて、貝入りのスープと一緒に食べる習慣があるようですが、100%美味しそうです^^
蒸し器で作る五穀飯
伝統的な方法で、蒸して作るレシピです。
違うベテラン主婦のレシピですが、こちらも美味しそうです!
■材料(米カップ)
もち米 3カップ
キビ 1カップ
モチキビ 1/2カップ
銀杏 15個
小豆 1カップ ※10分ほど軽く茹でる
その他豆 1/2カップ
水 1.5L
※基本、水に30分以上つけておく。豆類は前日から長めに
■調味料
塩 大さじ1
小豆のゆで汁+水1カップ
蒸し器で50分ほど蒸して作りますが、間に2~3回塩入りの小豆の茹で汁をかけて混ぜ合わせます。
最初は強火で、20分後に中弱火にします。余裕がある時に五穀ご飯も作ってみたいです~。
最後に。ブロム
五穀ご飯とナムルのほか「부럼 ブロム」を食べる習慣もあります。
ブロムとは、生の栗や、銀杏、クルミ、落花生を指しますが、このようなものを食べると、一年中肌に出来物が出来ないとか~。
写真は、ソウルに帰省した際に父がクルミを食べていたところ^^ 下記の記事に載せた写真です。
以上、韓国で小正月に食べるものの話でした!
確か、父が作ったボルムナムルの写真があったと思いますが、見つからなくて載せられませんでした…
最近、ほうれん草が旬だから、ほうれん草のナムルも良いですね!
ナムルは時間が経つと味が馴染んで美味しいので、作り置きおかずにおすすめです~。目玉焼きとコチュジャンだれでビビンバも食べられますし、便利な常備菜ですね。