ソルロンタンとコムタンについて
ソウルの実家で食べたコムタン(곰탕)です。
そして、似ている韓国料理として、ソルロンタン(설렁탕)があります。両方とも韓国の代表的なスープ料理です。
ちなみに、最後につく「タン(탕)」はスープの意味があるので、コムタンスープと言うと、スープスープとなってしまうので言葉に少し違和感があります。
ソルロンタンとコムタンの違い。
実は韓国人もよく知らない人が多いです。
参考になる本場発信の写真&動画と合わせて、その違いについて詳しくまとめてみました。
後半には韓国のレシピも紹介したので、おうちで作りたい方はぜひ参考にしてください。
違いと見分け方、そして歴史
レシピの前に、ソルロンタンとコムタンの違いなどについて詳しく!
ソルロンタンは、牛骨出汁の白いスープ
ソルロンタンについて辞書に書いてある内容を見ると、濃厚な白いスープが特徴と書いてあります。
소의 뼈, 내장 등을 함께 넣고 오랜 시간 푹 고아 만든 탕이다.국물이 뽀얗고 맛이 진하며 보양식으로 널리 알려져 있다.
牛の骨や内臓などを長時間煮込んだスープ。濃厚な白いスープが特徴。
スープが牛乳のように白い色なのは、骨の部位をたっぷり入れて長時間じっくり煮込んだからです。
Instagramで韓国語でソルロンタンを検索して、美味しそうなソルロンタンの写真を見つけました。もっと濃い白のスープのお店も多いですが、ここは若干透明ですね。
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景福宮の近くにあるお店だから、観光の時にも行きやすそうです。韓屋だから雰囲気も良い感じです。
은설설렁탕・ウンソルソルロンタン(Naverお店の情報ページ)
ソルロンタンの付け合わせには、カクテキが必ず出ます。
スープの中にはそうめんが少し。
貴族(韓国では両班・ヤンバンと言いますが)が牛肉を食べて、庶民がその残
基本のコムタンは、牛肉中心の透明なスープ
ソルロンタンに比べて、コムタンはもっと色んな顔があります。
基本のコムタンは、主にお肉を煮込んだものなので、スープの色は透明です。
소고기와 사골, 도가니 등을 솥에 넣고 오랜 시간 푹 고아 만든 음식이다.대표적인 슬로푸드이며 단백질과 칼슘이 풍부해 산모와 노약자에게 좋은 음식이다.
牛の肉や脚の骨、ひざ皿の骨と肉などを釜でじっくり煮たスープ。たんぱく質とカルシウムが豊富に含まれており、産後の女性やお年寄りのスタミナ食にうってつけの一品。
辞書には、骨も入っていると書いてありますが、はるか昔のコムタンは、王族や身分の高い両班が食べる料理だったので、骨を
下記は、韓国のコムタン専門店で撮った写真ですが、スープが白くないですね。
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ちなみに、コムタンには胃の部位(韓国語ではヤン・양)のホルモンが入っていることが多いです。写真で黒い具ですが、コリコリとして食感が美味しいです。
写真は、他の支店ですが、ミシュランにも載っているという明洞本店のお店情報は下記に詳しく書いてあります。
このお店の付け合わせは、カクテキではなく白菜キムチですね。コムタンには白菜キムチと決まっているわけではないので、
ソルロンタンにはカクテキがほぼセットのようなものになっています。スープが濃いので、消化に良い大根キムチが合うのだと思います。
だんだん、違いがなくなっている!?
韓国人もはっきり分からない人が多いから、テレビの番組でも、ソルロンタンとコムタンの違いについて話し合う内容がコンテンツになったりします。
下記番組もそんな内容です。韓国語ですが、映像で見比べたりしているので、参考になると思います。
昔は、身分の高い人が食べる料理がコムタンで、その残りで作ったという庶民の料理ソルロンタン。
両方ともソウルで始まった料理らしいです。それがだんだん地方に広がって、地方によっても違う作り方が出来上がりました。
釜山あたりの慶尚道では、牛骨も入れて作る白いコムタンを食べるようになり、全羅道ではホルモンなしで牛肉だけで作るコムタンが生まれたそうです。こちら(YouTube)のテレビ番組から分かった情報です。
時代によっても、変化していきました。
ソルロンタンには臭みがないように、入れない部位が出来たり、コムタンは骨入りでじっくり煮込んで作るようになったり。
作り方が増えたので、コムタンの名前の前に、分かりやすく入れる部位がついています。
写真は、사골곰탕(サゴルコムタン)ですが、サゴルは四骨の漢字で足の骨を指します。市販のパッケージが出るくらい、今は定番のコムタンのイメージになりました。なので、冒頭でコムタンは透明なスープという説明を見て、あれ?
꼬리곰탕(コリコムタン)も人気です。コリ(꼬리)はしっぽの意味ですが、しっぽの骨を使って作ったものです。テールスープに当たりますね。
도가니곰탕(トガニコムタン)もあります。トガニ(도가니)は膝皿の骨と肉の部位ですが、白い軟骨がとても美味しいです。牛に感謝ですね…。
ソルロンタンの歴史がよく分かる映像
昔から現代に至るまで、ソルロンタンが出来て今の形になるまでの話を分かりやすくまとめた映像です。よ〜く出来ている映像だったので、ちょっと感動しました。
★日本語字幕があります。機械翻訳ではなくてちゃんとした翻訳でした。
韓国にある全ての店の中で一番古いお店は、ソルロンタン屋さんだそうです。
身分の高い人も食べたいけど、お店では食べられないから、出前でよく頼んでいたとのことで、昔は出前料理として人気だったらしいです。
ソルロンタン・コムタンの作り方
韓国の人気レシピと合わせて、ソルロンタンとコムタンの作り方を紹介します。
下記コムタンは、牛骨入りのサゴルコムタンなので、作り方はソルロンタンとほぼ一緒です。
韓国人主婦のコムタンレシピ
濃いスープに、牛肉は柔らかく、美味しそうなレシピです。
かなりボリューミーに作って、4回煮込んで15〜16Lのスープが出来たそうです^^
■材料
足部位の骨(3.5kg)、その他の骨(2kg)、牛肉のかたまり(サテ 사태)1kg、牛すじ
■レシピ
① 骨を12時間くらい水につけておきます(途中で何回も入れ替えて水が綺麗になったら終わり)
② 下茹でをして、水にさらしながら、しろい脂を手でとります。
③ 鍋の半分くらい、骨を入れます。水をいっぱい入れて水が半分に減るまで4時間以上煮込みます。
④ 最初は、蓋を開けて強火で10分ほど煮込んでから、中火に変えて蓋をして煮込みます。(外出の時は弱火で)
⑤ 濃い色になってきたら、スープを取り出し、保存します。
⑥ 骨に新しい水を入れて同じように煮込み、3〜4回スープが作れます。
⑦ 牛肉は2回目以降の時に入れて一緒に煮込みます。スライスにしてスープに入れます。
■保存
牛肉は冷蔵保存、スープはポリ袋などで小分けして冷凍保存
■スープの味付けと入れるもの
塩、コショウ、水につけておいたタンミョン(チャプチェ用さつまいも春雨)、卵、ネギ、青唐辛子
■カクテキとキムチ汁を添えて食べる
骨を水につけて血を除去することで、臭みがなく、白いスープが作れます。
スープは、冷蔵庫に入れて(冬はベランダOK)、上に固まってくる白い膜を取り除けば、脂っぽくなくヘルシーで美味しいスープが楽しめます。
うちの父もコムタンを作るといつもベランダか冷蔵庫に少しおいていました。膜をお玉で取り除いていたのを覚えています。
韓国人主婦のソルロンタンレシピ
こちらのソルロンタンレシピも、入る材料はほぼ一緒です。
基本は上記コムタンと同じ作り方ですが、もっと少量で作るレシピです。
★英語の字幕あります。
■材料
足部位の骨(1.5kg)、その他の骨(1.5kg)、牛肉(サテ 사태)、長ねぎ
■レシピ
① 骨を12時間水につけておきます(つけて冷蔵庫におく)。何回も水を入れ替えて水が綺麗になったら終わり。
② 下茹でをして、水にさらしながら、歯ブラシで綺麗に洗います。
③ 鍋の1/3くらい、骨を入れます。水をいっぱい入れて煮込みます。
④ 沸騰したら、中弱火に変え、6時間以上煮込みます。3日間煮込みます。
⑤ ベランダなど気温の低いところにおいて、脂が固まってきたら、取り除きます。(牛脂は他の料理に使ってもOK)
⑥ 新鮮な牛肉はスープに入れて中弱火で50分煮込みます。スライスしてコムタンの具として使います。
■保存
スープは、フリーザーバッグに小分けして冷凍保存します。
■白菜キムチを添えて食べる
1番目レシピも、2番目レシピも、サテ(사태)という牛肉を具として煮込んでいます。膝の後のひかがみについている肉ですが、柔らかくて味もよくて、ゆで肉としてすごく人気です。
作り方はシンプルですが、時間をかけないといけない料理だから、食べる側としてはとてもありがたい料理です。
お店でコムタン一杯が出来上がるまで
金浦にあるコムタン専門店の映像です。少し長めですが、お店で作る過程がよく分かります。
なんとなく癒やし系の動画なので、寝れない夜とかに見ても良さそうです^^
お店の方が親切というコメントがありましたが、機会があれば行ってみたいです。
さっき、ソルロンタンはもともと出前料理として人気だったという話をしましたが、この店も出前で頼む人が多いみたいです。
最後に仕上がったコムタン料理が出てきますが、キムチなど全部含めて1万ウォン(千円)でした。体が温まる料理が食べたい時にちょうど良いですね!
写真は、ソルロンタンでもコムタンでもなく、スユク料理です。スユクは、ゆで肉の意味でソルロンタンやコムタンに入る具のスライス肉もスユク(수육)と言います。
上記に載せたソルロンタンの歴史動画で、
ソルロンタンの付け合わせとして「カクテキ」が出るようになったのが、日本から砂糖が入ってきた1900年代の初頭、ネギを入れるようになったのが中国人料理人の影響という話が印象深かったです。
今のソルロンタンは、東アジアが力を合わせて作り出したもの、と言えるかもしれません、大げさに言うと^^
東アジア、近くてお互い影響し合っているけど、中国、日本、韓国、それぞれ料理のスタイルがかなり違うのも面白いですね〜。