本格カンジャンケジャンの作り方
カンジャンケジャン(간장게장)は、韓国の代表的なカニ料理です。
生の蟹を醤油だれに漬けて数日熟成させて作ります。韓国語は、カンジャン(醤油)+ケ(かに)+ジャン(醤)の組み合わせです。
白身のしっとりとした味わいと卵の濃厚な味わい… そこに旨味たっぷりの醤油だれが染み込んでいて、複雑な味がします。高級なご飯泥棒の代名詞です。
今回は、韓国の人気レシピ動画7選と合わせて、本格+簡単な作り方をお届けします。
- 基本と料理研究家のレシピ
- 本場で話題の人気レシピ2選
- 韓国人主婦の人気レシピ4選
蟹の種類と旬の時期
使う蟹の種類は、渡り蟹です。違う種類でも作りますが、基本は渡り蟹です。韓国では、꽃게(コッケ)と呼ばれています。
渡り蟹の旬の時期は、春と秋。
4、5月は子持ちの雌ガニが旬で、9月頃は雄ガニが旬です。子持ちの雌ガニが濃厚な味わいで特に人気ですが、秋の雄ガニも美味しくて、白い身が雌ガニより何倍も甘いと言われています。
今、ちょうど旬なので、大きい魚屋さんに行ってみましたが、なかったので… いったん韓国のレシピ情報をまとめました。新鮮な渡り蟹が手に入ったら、ぜひ参考にしてください。
基本と料理研究家のレシピ
まず、カンジャンケジャンの基本の作り方を紹介します。
★コンパクトで基本がよく分かる韓国のレシピ動画がありましたが、最近見れなくなったので、映像と合わせて確認したい方は、次の料理研究家のレシピをチェックしてくださいね!
基本のレシピ
下記レシピに入る材料と調味料です。お家で作る時にこのくらいの材料で作る韓国人が多かったです。
■材料
渡り蟹 (3匹)1kg
■ 醤油だれの材料と調味料
生姜 2かけ、にんにく12かけ玉ねぎ 1個、長ねぎ 1本
梨 1個、りんご 1個
赤唐辛子1本、青唐辛子1本(乾燥唐辛子でもOK)
昆布 大きい1枚
甘草の根(※) 4個
醤油 500ml、みりん 1L、水600ml
※甘草の根(감초 カンチョ)は、下記動画の醤油だれの具材として最後に入れているものですが、漢方薬、サムゲタンにも使われていて、深みのある甘みがあります。カンジャンケジャンに入れる漢方材料の中で一番といえるくらい人気がありますか、必須ではないです。Amazonで甘草の根を見る
上記材料の他、旨味が出る乾燥しいたけ、甘みが出るナツメ、臭みの除去に良いローリエ、焼酎を入れる人も多いです。
- 1【蟹の下処理をする】蟹のお腹に付いているふんどしを開いて排泄物を除去(動画0:38)し、ブラシで足の間など綺麗に洗います。白い腹が下に向くように置いて、水気をよく切ります。
- 2【醤油だれを作る】鍋に生姜 2かけ、にんにく12かけ、玉ねぎ 1個、長ねぎ 1本、梨 1個、りんご 1個、赤唐辛子1本、青唐辛子1本、昆布 手のひらサイズ1枚、甘草の根 4個、醤油 500ml、みりん 1L、水600mlを入れて沸かします。沸騰したら、昆布を取り出し、弱火で30分~1時間じっくり煮込みます。汁だけこして、完全に冷まします。
- 3【容器に入れる】密閉容器に、蟹の白い腹が上に向くように入れます(★タレを蟹の中によく染み込ませるために重要)。蟹が隠れるように醤油だれをかけます。※生のにんにくや唐辛子、玉ねぎを追加しても良いです
- ・【熟成期間と保存方法】3~4日間冷蔵熟成後、食べごろです。冷蔵保存では7日間以内を目安いに食べ切ります。長く保存したい場合は、蟹とタレを分離して保存(※詳しくは下記の長期保存方法に記載)
冷凍蟹の場合は、下処理する前に、水に15分ほど入れて解凍します。
熟成した蟹は、ハサミで口とがにを除去し、食べやすい大きさに切って召し上がってください。詳しくは動画の後半に美味しい食べ方と合わせて出ているのでチェックしてくださいね。
砂袋を除いて中身は全部食べられます。砂袋や、渡り蟹のさばき方についてはこちらのkurashiruレシピ映像が分かりやすいです。包丁よりハサミのほうが楽です。
醤油と水の比率
こちらのレシピで、醤油:水(+みりん)の比率は、1:3ですが、このくらいの塩辛さが人気です。これよりもっと薄味で作ったり、濃いめで作ったりもしますが、初めて作る場合はとりあえず、この比率で作ってみるのが良さそうです。
醤油は、最初から入れる人と、後半で入れる人と半々で分かれますが、最初は具材から出汁が出やすく後半に追加したほうが良いかもしれません。
ベテラン料理研究家の基本レシピ
韓国の有名料理研究家のレシピと合わせて、カンジャンケジャンの作り方を紹介します。
■材料と調味料
子持ちの雌ガニ 2kg(6匹)
【☆漬け汁の材料】
水13カップ、昆布(5*5cm)3枚、煮干し30g、にんにく40g、生姜20g
ナツメの実20g、玉ねぎ2/3個、長ねぎ10cm 2切れ、キバナオギの根2本(20g)、粒胡椒2g、乾燥赤唐辛子2本、乾燥しいたけ15g(小6個)、りんご1/2個、ローリエ2枚、梨1/4個、辛い青唐辛子1本
【★調味料A】
醤油5カップ、焼酎1カップ、梅シロップ1カップ、サイダー1+1/2カップ
【★材料B】
にんにく20g、生姜10g、玉ねぎ1/2個、辛い青唐辛子3本、赤唐辛子2本、レモン1/2個
■レシピ
- 蟹をブラシで綺麗に洗って水気を除去します。
- 鍋に【☆漬け汁の材料】を入れて中火で25分間煮出します。減った分だけ水を追加して2.6Lくらいの量にし、5分間加熱します。ザルに上げて汁を綺麗にします。
- 2に【★調味料A】を入れてひと煮立ちさせてから冷ましたあと、サイダーを入れます。
- 【★材料B】をすべてスライスして用意します。
- 容器に蟹をお腹が見えるように入れてから、3+4をすべて入れます。
- 冷蔵庫に2日間保存したあと、汁だけひと煮立ちさせて冷まします。改めて蟹にかけて3〜4日熟成後食べごろです。
基本レシピと大きな違いはないですが、こちらでは甘草の根ではなく「キバナオギの根」を入れています。
キバナオギの根は、韓国語ではファンギ(황기)と言いますが、サムゲタンにもよく入れる漢方材料です。匂いを消して味に深みが出ます。韓国ではあまり高くないので、韓国旅行の際に買うのもおすすめです^^
あと、ナツメも入れていますね。
食べごろと長期保存方法
醤油だれの塩加減によって前後しますが、熟成3~4日目が一番美味しいという人が多かったです。
長く醤油だれに蟹を漬けていると、蟹の身がタレに溶けてしまう問題と、塩辛くなってしまう問題があるので、一週間以上経ったら(その前でも蟹に味がしっかり染み込んでいるタイミングに)、蟹は冷凍保存し、タレは冷蔵保存します。食べる際には、解凍した蟹にタレをかければ、長く美味しく楽しめます。
本場で話題の人気レシピ2選
韓国のほうでカンジャンケジャンのレシピを検索した時に、再生数1番目と2番目のレシピ動画です。
日本では手に入らない材料があったり、豪華に材料を使ったりするので、おうちで作る際には、後半で紹介した韓国人主婦のレシピのほうがもっと参考になると思いますが、本場で話題のレシピだけあってこちらも参考になるので先に紹介します~!
No.1 マクレばあちゃんの作り方
再生数トップはこちら。そうめんのレシピでも紹介した人気YouTuberおばあちゃんです。
作ったものを熟成3、4日後にとっても美味しそうに食べています。甲羅の中にご飯を入れ混ぜたり、韓国海苔で巻いて食べたり… 定番の美味しい食べ方も見られます^^
※英語の字幕があります。
材料は、入れる順にまとめたので内容と量を動画と合わせてチェックしてください~。
■醤油だれの材料と調味料
サムゲタン用の漢方出汁パック
ニッキ(계피 ・ゲピ)
乾燥しいたけ 6個、
ナツメ 2つかみ
玉ねぎ1/2個、りんご1/2個
生姜、にんにくたっぷり
乾燥唐辛子のタネ
昆布、生姜酒(生姜+焼酎)
※煮込む時に「醤油」を後半に追加
※冷めてから「梅シロップ」「イワシの魚醤」を1カップずつ追加
■容器に追加野菜
ナツメ、りんご、玉ねぎ、生姜、青唐辛子
レシピ専門チャンネルではないので、分量は詳しく出てないところがありますが、材料など参考になります。
ニッキ(肉桂)を入れることで、蟹の臭みをなくせるとのことです。乾燥シイタケ、ナツメ、乾燥唐辛子のタネ、焼酎も人気材料です。
キムチを漬ける時によく使うイワシの魚醤も入れています。醤油だけで作る人が多いのですが、魚醤入りで作る人もそこそこいます。キムチのレシピ一覧
No.2 料理番組の人気レシピ
こちらの料理バライティー番組が再生数が2番目に多い人気レシピです。真似して作る韓国人のレシピブログもたくさんありました。
画面に写っている女優のキム・スミ(김수미)さんは、通販でもカンジャンケジャンを売っているので、かなり本格な作り方です。
材料は、入れる順にまとめたので、内容と量を動画と合わせてチェックしてください。
① 下記材料を入れて、弱火で1時間煮込む。
水 2.5L、キバナオギの根(※황기)
乾燥シイタケ6個、昆布4枚
生姜2個、にんにく9かけ
ナツメ、長ねぎのひげ根
玉ねぎ 1個、りんご 1個
ローリエ、乾燥唐辛子
② 下記材料を追加して弱火で20分煮込む。
煮干し、サッパ、唐辛子のタネ、コショウ小さじ1
③ 醤油300mlを加えて、中火で軽く煮込む。
④ 火を止めて、梅シロップ大さじ2、サイダー大さじ2、焼酎 大さじ1を入れて混ぜる。 完全に冷ます。
⑤ 蟹2匹は綺麗に洗い、水気をしっかりふく。密閉容器に蟹の白い腹が上に向くように入れ、醤油だれをかけて冷蔵庫で3日間保存。
⑥ 一度醤油だれだけ出して、沸騰させてから、完全に冷ましたあと、再び蟹にかけて冷蔵庫で3日間保存後、食べごろ。
長ねぎの根っこについているひげ根は、出汁用の人気材料です。スーパーでは、ひげ根なしで売っていることが多いので、普通に長ねぎでも良いと思います。サッパは、煮干しよりちょっと大きめの魚です。
火を止めてから、梅シロップ、サイダー、焼酎を追加するのもコツとのこと。甘みと炭酸が入っているサイダーを入れるレシピもそこそこ見かけます。
熟成中に醤油だれを取り出して加熱
このレシピは、熟成3日目に醤油だれを一度取り出して加熱して、冷ましたあとで蟹にかけて冷蔵保存。それから3日後が食べごろとのことです。塩辛くないタレなので、熟成期間が他のレシピより長めだと思います。
タレだけ加熱する理由は、菌を除去し、長く保存する目的が一番大きいです。熟成1日後に入れ直す人もいます。(詳しいやり方は、最後に紹介した韓国人主婦のレシピ動画にも詳しく出ています)
熟成中にタレだけ加熱するのは、昔からのやり方としてやっている人が多いですが、タレを再び加熱しないほうが美味しいと言って、人気のカンジャンケジャン専門店ではしないところもあります。自分好みで選択しても良いと思います。
韓国人主婦の人気レシピ4選
最後は、韓国人主婦の人気レシピからアレンジできる内容をお届けします。 蟹さえあれば、似たような感じで作れるレシピも多いです。
材料とレシピの要約は、下記にまとめたので、動画と合わせて参考にしてください。
- 1生きている蟹で! ベテラン主婦の人気レシピ
- 2チェジュ島の食堂のコツで作る人気レシピ
- 3おばあちゃんの50年ノーハウの簡単レシピ
- 4秋が旬のオス蟹で! 丁寧で本格なレシピ
- ※スマホではYouTube画面が小さいので、四角い「全画面」ボタンを押して画面の大きさを調整してください。再生した際に横向きにしても全画面になります。
生きている蟹で!ベテラン主婦の人気レシピ
こちらの方は、熟成中に醤油だれを取り出して一度加熱して冷まして入れ直す作業を1日1回、3日間することを勧めています。他のレシピより頻度が高いですね。
■醤油だれに入る材料と調味料
【調味料】
水3カップ、焼酎1カップ、醤油2カップ、梅シロップ1カップ、水飴1/3~1/2カップ
【香辛材料】
しょうが2かけ、にんにく20かけ、長ねぎ1本、乾燥赤唐辛子5本、唐辛子のタネ
【出汁と旨味】
昆布(大)1枚、玉ねぎ1個、乾燥しいたけ4個、梨1個、りんご1個、ナツメ
■醤油だれを冷ましてから追加野菜
青唐辛子5本、赤唐辛子、長ねぎの白い部分
生きている蟹を手入れする時に、水を少し入れて蟹が入っている桶を強く何回かふることが良いそうです。手にケガもせず、綺麗になるそうです。蟹が気絶したら、ブラシで気になるところを洗います。
生より冷凍?
韓国では、意外と生(生きている蟹)よりは冷凍蟹で作るほうが人気でした。新鮮な蟹を急速冷凍したものです。
蟹を冷凍することで、身に弾力ができて美味しくなり、菌や寄生虫の除去にも効果があります。それに、蟹の下処理も安全で楽になります。
そのため、生の蟹で買っても1日冷凍してから調理する人も結構多かったです。
チェジュ島の食堂のコツで作る人気レシピ
こちらのレシピも美味しかったというコメントがたくさんついていました。
■醤油だれに入る材料と調味料
①下記を全部入れて加熱。沸騰したら昆布を出して中火で15分間煮込む。
蟹4匹、梨1/2個、玉ねぎ1個、長ねぎの白い部分2本、青唐辛子4個、赤唐辛子2個、ナツメ10個、昆布、にんにく8かけ、生姜3かけ、長ねぎのひげ根(省略可)2個
醤油 800ml、サイダー 800ml、水 400ml、焼酎 400ml
②下記を追加し、弱火で15分間煮込む
オリゴ糖 大さじ7、コショウ 大さじ1/2
作ってから1日後に醤油だれを出して加熱後、冷まし、蟹にかけて、1日後に食べごろとのことです。醤油と水(+サイダー+焼酎)の比率は、1:2でちょっと濃い目です。
サイダーを多めに入れています。サイダーの炭酸も熟成に良いらしいので、話題の人気レシピ2番目で紹介した料理番組レシピのように、後半に入れても良さそうです。
寄生虫が心配?
このレシピでは、臭みと寄生虫の除去のために、お酢と焼酎入りの水に30分間蟹を入れておいています。
寄生虫が心配であれば、このやり方も参考になりますし、上に書いた1日冷凍も良いですね。
でも、新鮮な蟹には、寄生虫がないとのことで、神経質に心配をしなくても良いみたいです。
おばあちゃんの50年ノーハウの簡単レシピ
今まで紹介したレシピの中で一番簡単な材料と作り方です。でも美味しそうです!
■醤油だれに入る材料と調味料(蟹6匹)
①下記を全部入れて加熱。
醤油2L、水2L、昆布3枚
乾燥赤唐辛子(タネも)6つ
②タレを完全に冷ましてから下記の生野菜のスライスと調味料を追加
ニンニク20かけ、生姜2かけ、玉ねぎ1個、青赤唐辛子、梅シロップ大さじ4
醤油だれの加熱時間は出てなかったのですが、材料は少ないので長く煮込まなくても良さそうですね。
梅シロップは、韓国でよく使いますが、なければ、オリゴ糖やハチミツ、砂糖などで甘みを調整します。
こちらの方は、塩辛く作るのが好みとのことで、醤油と水を同じ比率で入れています。
秋が旬のオス蟹で!丁寧で本格なレシピ
韓国人主婦の人気レシピチャンネルから本格レシピです。分量が正確で、説明が丁寧です。
日本では手に入らない材料も多いですが、蟹の手入れなど参考になる映像です。
■醤油だれの材料と調味料(蟹5匹)
①下記材料を全部入れて中火で30分ほど煮込む
水 1.8L玉ねぎ1/2個、梨1/2個
乾燥唐辛子5本
干しスケトウダラの頭 1個
サッパ10個、乾燥しいたけ4個
甘草の根(감초 カンチョ)7個
ナツメ7個、コショウ 20玉、昆布2枚
② 出汁をこしてから、下記を追加。軽く加熱してから完全に冷ます。
醤油300ml、カナリ魚醤200ml
砂糖 大さじ2、焼酎 100ml
にんにく、しょうが
③ 冷ましたタレにスライスの青赤唐辛子を追加
日本では手軽に買えないですが、干しスケトウダラの頭(북어 대가리)とサッパ(밴댕이)を使うと美味しい出汁になるので、韓国では出汁用でよく使われています。サッパは、話題の2番目料理番組レシピでも入れていましたね。
基本のレシピで紹介した人気の漢方材料「甘草の根」も入れていますね。カナリ魚醤については、こちらの韓国調味料記事を参考にしてください。
醤油だれの入れ直しの仕方も動画9:30から詳しく出ています。2日後に入れ直し、冷蔵保存して1日後に食べごろとのことです。
以上、韓国のレシピ情報でした!
写真は、半熟ゆで卵の醤油漬けのレシピから。渡り蟹より万倍くらい手に入りやすい鶏の卵で作りました。
カンジャンケジャンは、Instagramからリクエストくださった料理だったので、実際作った内容と合わせて紹介したかったのですが、できず残念です…。
渡り蟹が手に入り次第、こちらのレシピ情報をもとに作ってみたいと思います。
カンジャンケジャンの生えびバージョンもありますが、生の赤エビはわりと手に入りやすいので良いですね。下記のレシピで紹介しました。
■生エビの醤油漬け(セウジャン)の作り方。韓国の人気レシピを分かりやすく
醤油漬けした生えびのミソがめちゃくちゃ美味しくて感動♪
では、わかりにくいところや、気になる点がありましたら、コメントくださいね!