えごまの葉の栽培方法
韓国人は、えごまの葉をよく食べます。
サムギョプサルなど焼肉を食べる時にも、サンチュとセットで出てくることが多いですし、えごまの葉を使った料理も多いです。
えごまの葉を生で食べる国は韓国しかないらしいです。最近、日本のスーパーで売っていることもありますが、まだ一般的に食べる野菜ではないですよね。
韓国料理が好きな日本の方からおうちで栽培しているという話を時々うかがいますが、
先週、えごまの葉のキムチレシピに、栽培方法について質問があったので、韓国の情報を調べました。
栽培する際に役に立ちそうな内容を動画と合わせてまとめたので、参考になれば嬉しいです!
- えごまの葉の基本知識と食べ方
- えごまの葉、栽培から収穫まで
- 摘心方法と時期
- 最後に。韓国の農業風景から
えごまの葉の基本知識と食べ方
栽培方法の前に、えごまの葉について簡単に紹介します。
頂いている質問についても〜。
えごまはシソ科。韓国ではミント科
日本では、えごまが「シソ科」です。
シソを食べない韓国では「ミント科」になっています。もっと専門的な名称(꿀풀과)もありましたが、それを分かりやすく言えばミント科になるらしいです。国によって分かりやすい名称になるんですね…。깻잎(えごまの葉)【韓国のwiki】
ちなみに、ごまは「ごま科(참깨과)」です。
ごま(깨 or 참깨)とえごま(들깨)。日本語も韓国語も言葉が似ていますが、科も違うし、植物の見た目もかなり違うから面白いですね。
ケンニプは「ごまの葉」ではなく「えごまの葉」
韓国語でえごまの葉を「깻잎(ケンニプ)」と言います。
ゴマ(깨・ケ)と葉(잎・イプ)の組み合わせの単語なので、ケンニプがごまの葉だと勘違いしている韓国人が結構います。
ところが、ごま油になるゴマ(참깨)の葉はかたくて美味しくないので、食べるのは、エゴマ(들깨)の葉のほうです。
ということで、ケンニプが食べたい方は、えごまを育てればOK!
えごまの品種
韓国で育てているえごまに品種の違いがあるのか質問がありましたが、
葉収穫向けの品種(잎들깨 품종)と、えごま+油収穫向けの品種(종실용 품종)に分かれるとこちらの韓国人の記事に書いてありました。
ただ、専門的に農業をやっているところで品種を分けて扱う感じで、小さい規模で家庭栽培している韓国人は普通に「えごま(깻잎)」と書いてある種や苗を購入して育てています。
韓国人が発信している多くの動画では種の種類や品種について紹介しておらず、品種を気にする必要がない雰囲気でした。もしくは、家庭栽培する場合は葉の収穫目的が一般的なので、葉収穫向けの品種のみ流通されている可能性もあります。
また、同じ種でも摘心や育て方によって葉の収穫が多くなったりごまの収穫が多くなったりするので、その内容について下記に動画と合わせて紹介しました。
葉の裏面が紫色のものと緑色のものがある
以前、Instagramである日本の方が、裏面が紫ではないえごまの葉が普通ではないようなコメントをくださったのですが、
韓国では、裏面が紫色のものも緑色のものも、全然気にせず食べています。
品種が違うようですが、味は一緒なので、韓国では両方とも同じ「ケンニプ」として扱われています。(確かな情報か分かりませんが、紫色が葉収穫向け品種と言う人がいました)
昔、ソウルの実家から送られてきた写真ですが、こちらも紫色が見えない感じですね。。ちなみに、赤いものは小ネギで作るパキムチ(レシピ)です。両方とも大量ですね^^
えごまの葉は、栄養豊富
えごまの葉の栄養を全く考えずに美味しいから食べていたのですが、栄養も豊富だそうです。
韓国農水産食品流通公社の下記ページに栄養について詳しく書いてありましたが、要約すると
논쟁없는 풍부한 영양 깻잎(論争ない栄養豊富なえごまの葉)※韓国語
- 鉄分が多いため貧血予防になる。ほうれん草の2倍。30gで1日の鉄分量を満たす
- βカロテン(ビタミンAに変換される)が豊富。目の健康に良い
- ビタミンCが豊富。免疫力強化、美肌効果
- ロズマリン酸が脳細胞の代謝を活発に。ボケ予防になる
- カルシウムが豊富。骨の健康に良い
- 植物繊維や腸に良い栄養が多く、便秘予防になる
便秘予防に加えて、カロリーが低く、コレステロールを排出しやすくするため、ダイエットにも良い野菜らしいです。
香りが独特だとしても、韓国以外の国ではなんで食べないのか不思議ですね^^;
韓国人の食べ方と人気の料理
冒頭で話しましたが、サンチュのように、お肉などを包んで食べることが多いです。また、お肉の味の強いスープや炒め料理にアクセントとして少し入れることが多いですね。
その他、韓国でよく食べる2つの料理を紹介します。
韓国で一番人気のえごまの葉の料理は、写真のような醤油漬けです。
えごまの葉のキムチも美味しいですが、シンプルな酢醤油漬けはえごまの葉の味と香りを100%楽しめる料理だと思うのでおすすめです。
下記に韓国のレシピを両方とも紹介しました。大量消費にももってこいのレシピです。
■えごまの葉のキムチ+醤油漬けの作り方。韓国人主婦の人気レシピ5選
韓国農水産食品流通公社のページに紹介されていた料理として、こちらのチヂミもありました。
えごまの葉の中に餡を入れて作りますが、下記にも似ている料理を紹介したので参考にしてください。
えごまの葉、栽培から収穫まで
韓国人が発信している動画と合わせて、栽培から収穫まで役に立つ情報をまとめました。
種か苗、プランターか畑などいろんなケースでの栽培方法をお届けします。
韓国では、育てやすい野菜の代名詞のようになっているので、栽培の初心者でもチャレンジしてみても良さそうです!
種まき・苗を植え付ける時期はいつ?
基本は春から初夏の時期。5月頃が育ちやすく、ちょうど良いみたいです。
1ヶ月後から収穫ができ、問題なければ秋までずっと収穫できます。
なので、他の野菜の栽培もやっている場合は、玉ねぎやにんにくなど他の作物を収穫した後、空いた畑を利用して7月〜8月初旬に植え付けるという人も結構いました。
【種まき】室内でプランター
アメリカに住んでいる韓国の方ですが、プランターで育てる時のコツを教えてくれます。
初心者目線で分かりやすく、育て方がシンプルで良かったです。
1回目は失敗。その原因は植木鉢の大きさに比べて種をたくさんまいてしまったから。
初心者が失敗する理由として、この話をする韓国人が多かったです。
2回目は、植木鉢に1個の種だけで成功したそうです。
えごまは光が好きだから
土に種を入れる際に注意するところは、土を被せすぎないこと。
エゴマは「好光性種子」のため、発芽するためには光が必要です。なので、土は軽く被せます。動画の2:10にやり方が流れます。
育てる時も家の中で日差しが入ってくる窓際に置くのが大事なんですね。
水やりは毎日乾かない程度に!
【種の発芽方法】ベランダでプランター
下記動画は、ダイソー(다이소)で買った種で育てる映像です。
日本の100円ショップでも売っているところがあるらしいです。
土もダイソーで購入していたのですが、このように培養土(배양토)と真砂土(상토)を混ぜた土で育てる人が多かったです。
種を土に直接まくのではなく、濡らしたキッチンペーパーに置いて発芽させてから、土に植えています。発芽期間は8日間でした。
少し手間ですが、このように発芽させてから土に植え付けるのが確実だそうです。
サンチュも一緒に育てていますが、サンチュの種のほうが発芽率は良かったです。
種は、少量でOK
欲張って種をたくさん発芽させてしまったので、植木鉢のスペースが足りなく、後悔していました。捨てるのももったいなく、たくさん植え付けたので、様子を見て間引きすると言っていました。
1番目動画の方も種をまきすぎて失敗したと言っていましたが、種がたくさんあるとしても、プランターに合わせて少量だけまいたり発芽させるのが大事ですね。
【苗の植え付け方・育て方】庭でプランター
種ではなく、苗を植えつけて育てる動画です。
市販の苗ですが、7個で200円だったそうです〜。
家庭栽培の経験が多い方で、育て方についても役に立つアドバイスが多かったです。
土作りと苗の植えつけ
土には有機質肥料を混ぜています。シナモンの粉(계피가루)も土の上に少し。天然カルシウム肥料も時々与えているとのこと。
肥料をあげると、えごまの葉が柔らかくて美味しくなりますが、たくさんあげすぎると、枝が早く伸びすぎて倒れやすくなるから、適量が大事らしいです。
苗を植え付ける時は、上の4枚の葉を残して下の葉をとっています。成長しやすくするために。
広げた手のひらサイズの植木鉢に1株ずつでOK!
収穫量を増やすために、わき芽の処理が大事
7:00から収穫する方法が流れています。
収穫する際も、上の4枚を残して下から収穫していきます。
合わせて、わき芽(곁순)も取り除いています。わき芽を放置すると、エゴマの葉が大きくならないので綺麗に除去することが収穫量を増やすコツと言っていました。
わき芽がピンとこない方は、8:30の映像をチェックしてみてください。葉の下などに少し出ている芽です。
3〜5本の枝で育てるのがおすすめ
摘心せず、1本の主枝で育てることもできますが、成長が早くて葉がすぐ大きくなるので、3〜5の枝で育てるのがちょうど良いとのことです。
摘心について触れてなく、葉が目的なら特に行わなくても良いみたいです。摘心に関しては下記にもう少し詳しく書きました。
葉ではなく、エゴマの収穫が目的なら
えごまの葉ではなく、えごま(または油)が目的の場合の育て方は、13:10からの映像で紹介されていますが、こちらは真逆の育て方でした。
摘心を行い、わき芽も放置して枝を増やしていました。そうすることで、各枝の上に花が咲き、エゴマが実り、収穫量が増えるそうです。
わき芽と摘心の基本概念
栽培に慣れていない私のような人のために、基本概念もまとめておきます。
「脇芽」とは、葉茎の根元から伸びてくる芽のことで、摘まずに置いておくとどんどん伸びていきます。葉が茂って風通しが悪くなると病気にかかりやすくなるだけではなく、実を大きくするために必要な栄養を消費してしまいます。実にしっかり栄養がいきわたるようするためにも、「脇芽摘み」を行う必要があります。
「摘心」は、一定の大きさになった植物の枝やつるの先端を剪定することです。摘心を行うと成長がストップするため、枝の成長に消費されていた栄養が実にいきわたるようになります。
摘心した枝は伸びなくなりますが、下に新しい枝が増えます。
ちなみに、摘心は韓国語でも同じ漢字で「적심」と言いますが、成長点を除去する(생장점을 제거)と表現する韓国人が多かったです。同じ意味ですね〜。
摘心方法と時期
えごまの葉の栽培について、下記の質問をいただきました。
エゴマの栽培ですが、韓国のYoutubeを見てると摘心して側枝を伸ばす青シソみたいな栽培の方と、ひたすら下葉をかき取っていく方がいるように見えますがどちらが主流(?)でしょうか?
ひたすら下葉をかき取っていくことは、(摘心しないで)上のところだけ残して収穫していくことを指すのだと思いますが、
確かに韓国人の動画を見ると、上記の2種類の育て方がほぼ同じくらいに分かれて紹介されていました。
韓国農業現場で主流の栽培方法
下記は、韓国のニュース番組ですが、えごまの葉の農業風景が写っているので育て方の面でも参考になりました。
えごまの葉の収穫量の多い금산(錦山)の売上が7年連続で急増し、記録更新しているという内容です。全国占有率32%を占め、人手が足りない状況とのことです。
えごまの葉の需要の多い韓国では、このようなハウス栽培が多いです。高収入野菜のひとつとして人気らしいです!
ハウスの中に植えてあるえごまの形を見ると、主枝1本で育てているのが見えました。
これは摘心しない栽培方法ですね。最後に載せた韓国の農業風景動画2つでも一緒でした。
こんなにえごまをたくさん植えて栽培する時は、主枝1本で育ててるスタイルが主流のようです。枝が増えると、管理しにくいところもあるからではないかと推測してみます。
でも、家庭栽培でたくさん植えてない場合は、下記のように摘心して枝数を増やす人と、主枝1本で育てる人に分かれました。
【摘心して収穫量を増やす方法】畑で家庭栽培
摘心して枝を増やす育て方は、下記の動画で紹介されています。
最初の足の置き方などワイルドな感じの方ですが^^
1mの高さになったら摘心する(成長点を摘みとる)
2:10以降の映像で、各枝の一番上にある成長点を手で摘みとって摘心をしています。
摘心をすることで枝が増え、葉の収穫量も増える。また、えごまの背が伸びすぎて風や雨で倒れることを防止できると言っています。
60cmくらいの高さになった時に行う人もいるとのことで、人によってタイミングは少し違うみたいですが、こちらの方は1mをすすめていました。
葉の収穫のために、摘心する良い時期
栽培の質問をくださった方が、下記のように成長が遅いことを気にしていましたが、
6月にタネをまいて草丈が30センチにもなっていない。。
青シソなら何もしなくてもある程度高さは出て来て、適当に摘心すると側枝がたくさん出てきますが
えごまは様子が違い、低いままで葉っぱだけが大きくなりどうしたものかと毎日眺めています。
韓国の栽培関連動画で、摘心が早すぎると丈が伸びなくなるから、50〜60cmくらいの高さになるまでは摘心しないほうが良いとコメントする韓国人がいました。
育たない理由として、肥料や環境が原因かもしれませんが、摘心が早すぎることも原因になる可能性があるので参考にしてください。
【摘心なし・主枝1本での育て方】畑で家庭栽培
下記は、畑に苗を植えつけて育てているケースですが、
このように家庭菜園で摘心せず、1本の枝で育てている人も多いです。ただ、葉が早く大きくなるので、1〜3日以内で収穫したほうが良いそうです。
30〜40cm間隔で空けて植えつけます。
こちらの方も、わき芽を常に綺麗に取り除くことが葉の収穫にとって非常に大事ということを数回言いながら強調していました。
このように枝が1本、または少ない場合は、風通しがよくて害虫予防にもなるところが良いらしいです。
摘心しないと成長し続けるので背が高くなりますが、1m以上の丈で育てる人もいました。
最後に。韓国の農業風景から
最後に韓国の農業風景が写っている2つの動画から、情報をお届けします。
水耕栽培で収穫量が急増
日本でも水耕栽培が進んでいるようですが、韓国もエゴマの葉の水耕栽培が人気です。
なんと、収穫量が44.5%急増しているらしいです。
えごまの葉の栽培は収穫する時に腰に負担があり、重労働ですが、
水耕栽培では高さもあげられることで労働環境の改善も図れるとのことです。
家の中でエゴマの葉を水耕栽培をしている韓国人もいました!
プロから葉の取り方を学ぼう
こちらも農業現場からの動画ですが、葉をとるスピードが早すぎて、えごまの葉の女王(깻잎 여왕)と呼ばれている方らしいです^^
最初の映像に、えごまの葉を取る時の注意点が流れています。
えごまの葉を取る際に、主枝が剥がれないように採るのが大事!
主枝を剥がしてしまったら、腐ってえごま全体に影響が出ることがあるので要注意とのことです。
早いスピードで主枝が剥がれないように収穫するコツを教えていましたが、文章で伝えるのが難しいかなと思います。手の力加減と微妙な方向とかが関わると思うので映像を見ながら参考にしてください^^;動画0:50から確認できます。
また、収穫する時には、成長が同じ反対側の葉も一緒に採るのが良いですね。
韓国の市場やスーパーでは、6枚+6枚が1セットになって赤い紐で結ばれて売られていることが多いですが、それも採るのと合わせて全部手作業でやっていました。
えごまの葉の女王だけに動きに無駄がないですね!
以上です。
私なりに役に立ちそうな情報を一生懸命まとめてみましたが、参考になれば嬉しいです!
写真のえごまのキムチは、下記のお店でおかずとして出てきたものです。
釜山旅★海雲台で特別なわかめスープの韓定食!地元の人おすすめのお店
久しぶりに韓国でえごまの葉を食べると、美味しくて感動するんですけど、
日本でもえごまの葉がたくさん売っていると良いなと願っています。醤油漬けもつけられるように大量に売ってほしいです^^