ホームエンタメ韓国ドラマ『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』は何がおもしろいのか

『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』は何がおもしろいのか

ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語

『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』

最近見た韓国ドラマの中で面白かった『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』について話したいと思います!

韓国で2025年10月25日から始まり、すぐNetflixで配信されました。

日本ではそれほど人気がなかったですが、韓国ではかなり話題になりました。

1話が2.9%から始まったのに最終話が7.6%で終わり、ケーブルテレビとしてはかなり高視聴率。

 

ポスターのタイトルの下にはこんなメッセージが書いてあります。

대기업에 大企業に通い

집도있고 家もあり

차도있고 車もあり

다있는데 全部持っているのに

가만보니 考えてみたら

내가없네 自分がないね

골때리네 呆れるね

 

『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』
写真の出典:ドラマの公式サイトより

キム部長のキム・ナクスを演じたこちらの俳優さん。リュ・スンリョン(류승룡)

ナクスの表情に笑ったり、意外な行動にひやひやさせられたり。感動もありました。

 

『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』

原作の小説は、実際、ソウルの大企業に11年間勤めていた人が書きました!

会社に行く前に4時半に起きて小説を書いたそうです(すごい!)。その小説が話題になり、漫画やドラマになり。

韓国の今を描いたリアリティ溢れる内容が、韓国人の心に刺さったみたいです。

OSTも良かったので、後半に♫

(↓)夫も面白かったみたいで、ドラマの紹介と感想を書いてくれました。

 

『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』は何がおもしろいのか(夫の感想)

ネットフリックスで配信中の韓国ドラマ『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』がおもしろかったけど、日本で暮らす普通の日本人がみてもおもしろくないかもしれないと思ったので、僭越ながら解説っぽいことをしてみたいと思います。

私はサムスン電子の本社がある水原の近くに2年ぐらい住んでいて、本社内で日本語の授業をしていました。またその近くのサムスン半導体工場で工場長の副社長に個人授業をしていたこともあり、自宅でもサムスンの部長さんに授業をしていたことがあります。なので韓国の大企業、とくにサムスンに勤めている人たちについてはいろいろ思うところがあるのです。

 

韓国ドラマ『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』

 

韓国語のタイトルに書いてある「持ち家(자가)」の意味

まず、韓国語のタイトルは「서울 자가에 대기업 다니는 김 부장 이야기」です。

直訳すると「ソウルに持ち家があり、大企業に勤めているキム部長の話」となります。家が賃貸なのか持ち家なのかが重要なポイントなので、日本語タイトルだけだとちょっとわかりにくいです。

ソウルに持ち家があるというのは、場所とか大きさにもよりますが、それだけで概ね1億円以上の資産を持っているという意味です。

主人公のキム・ナクスは後輩だけど同じ部長でライバルのト・ジヌがソウルの中でも超一等地に住んでいることを知り、「チョンセに違いない、持ち家のはずがない」とヤキモキするのですが、超一等地に住んでいても、持ち家でなければ「自分が上」と自らを慰めるわけです。

韓国独自の住宅システム「チョンセ(전세)」とは

韓国ドラマをよく見る方であればご存知かもしれませんが、チョンセというのは、住宅価格の6割から8割程度の保証金を持ち主に預けることで、月々の家賃なしに家を借りるシステムのことで、退去時に保証金は全額返還されます。家主はこれを運用して家賃の代わりにするわけです。預けるお金さえあれば実質無料で住めるわけで、良いこと尽くしだと思うのですが、1億5000万円の家をチョンセで借りようとすれば、1億円程度の現金が必要で庶民にとっては無理な額です。多くの場合は、チョンセの保証金を用意するために借金するのです。

つまりソウルでマンション(韓国ではアパートと言いますが)を所有するには、親に資産があるか、本人が大企業で出世するかのどちらかになります。

 

(↓)ト・ジヌの家が「チョンセ(전세)」であることを祈るが、持ち家(자가)ということに気づくシーン。

 

韓国の大企業で居続ける難しさ

では韓国における大企業の部長というのはどんなものでしょうか。

53歳らしきキム・ナクスが勤めているのは通信会社大手のSKテレコムらしき会社です。日本で言うとNTTドコモでしょうか。53歳でドコモ本社の部長であれば日本でも「へー、すごい」となりますよね。でも日本企業なら新卒で入って53歳まで勤めていればだいたい部長くらいにはなるような気がします。

韓国の大企業で部長になるのは、多分、ずっとずっと大変です。というか、50歳で大企業に残っていることがかなりのレアケースだと思われます。

サムスン電子には子どもの大学の学費を負担してくれる制度があるのですが、これを利用している社員が極めて少ないのだそうです。韓国は軍隊があるので、新卒が24歳くらいになり、30歳で結婚して子どもができ、この子どもが大学に通う年齢になるころには、本人が40代後半です。つまり40代後半の社員がかなり少ないのです。私が韓国に住んでいたのは2010年までで、現状は変化しているかもしれませんが、傾向は同じだと思います。またサムスン以外の会社でも大企業は似た傾向があると思います。

 

中産層のプライドと若者の変化

キム・ナクスはソウルに持ち家があり、子どもを大学に通わせ、いまも大企業に勤めていることについて強いプライドを持ち、息子にも「誰にでもできることじゃない」と言い聞かせます。韓国は結婚する人も減り、出生率も世界で一番低くなっていますが、ナクスの言うとおり、結婚して子どもを養うことが容易ではないためだと思います。

ナクスは現代自動車の大型セダン「グレンジャー」に乗っているのですが、これはトヨタのクラウンみたいな位置づけの車です。日本でも「いつかはクラウン」と成功した庶民の代名詞のようなイメージがありますが、ナクスもこの車に乗っていることを誇っています。ですが30代の部下がBMWのセダンに乗っていることを知って驚きます。

韓国の結婚適齢期の男性がある程度の収入があるにもかかわらず結婚するのをためらい、高級車を買うというのは「あるある」らしく、家は買えないけど車は良いものを買おうという若い夫婦もかなりいるようです。

繰り返しになりますが、ソウルに持ち家があり、自分は大企業の部長で妻は専業主婦、息子は名門大、車はグレンジャー。このような自身の環境をナクスは誇りに思っていて、韓国では「中産層」の典型などと言われますが、実際にはサラリーマンとしてはかなり成功した部類になるわけです。

 

厳しい現実と「転落」の物語(※ネタバレ含)

韓国ドラマ『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』

★ここからちょっとネタバレになります。気になる方は読まないでください。

ナクスの同期が鬱陵島という島に左遷されそうになり、自殺未遂を起こします。ほとんどの人は大企業社員という経歴を活かして関連会社などに転職するのですが、特に強みを持っていないこの同期は大企業にしがみついていました。ちなみに韓国の40代の死因のトップは自殺で癌より多いです。※ただ日本も自殺と癌が拮抗しているようです。

また儒教的な考え方で年齢の上下を重視する韓国では、上司が年下になるケースがかなりレアで、そうなることが決まったら転職するのが普通のようです。ナクスは後輩のト・ジヌと常務の座を争っていますが、ト・ジヌが常務になれば本社に残る道はほぼなくなります。

ナクスも結局、地方の工場の閑職に左遷され、犬の糞の片付けなどを担当することになります。

その前任者がチキン屋を開くのですが、韓国では「雇ってくれるところがなくなった人が最後に行き着く仕事」として自営のチキン屋が典型例としてあげられます。

ナクスは大企業の部長というプライドと、人間キム・ナクスのプライドを天秤にかけ、結局会社を辞めてしまいます。年下の親戚が起こした会社で働き、元の会社に営業をかけたりしますが、大企業の子会社に転職して結局親会社の元部下に頭をさげなければいけないなど、こういうのも韓国あるあるなのだと思います。

ナクスは退職金を狙った不動産詐欺にあい、結局、自慢のソウルの持ち家も失います。不動産詐欺も日本ではニュースでしか見ませんが、韓国にいると、知り合いの知り合いぐらいには、何人か被害者がいます。

大企業の部長という肩書と、ソウルの持ち家を失ったナクス。ただ最後は妻と裸足で夜の公園を散歩する幸せそうな場面で終わります。

 

韓国ドラマ『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』

 

終わりに

前述したサムスンの副社長ですが、アメリカの大学で博士号を取った人でした。ソウルの一等地にあるマンションに住んでいて、娘二人はアメリカの大学に留学中でした。朝7時に始まる私との日本語授業のためにソウルの自宅を6時ごろには出発していました。週末は仕事の関係者とゴルフをするくらいで、酒もタバコもせず、趣味は何もない様子でした。おそらく年収は数千万円もらっていたと思いますが、娘の留学費用が高額でそれほど余裕がないと言っていました。サムスンの学費補助は国内の大学限定なので全部自腹だそうです。

サムスン副社長というのは、日本とちがって会社のナンバー2という意味ではなく、階級のようなものです。なのでサムスンは社長も副社長もたくさんいます。代表取締役社長とかCEOとかではなく、給与体系のひとつとしての社長であり副社長ということのようです。

なんにしても、韓国の大企業の常務以上、つまり部長の上になる人は博士号を持っているのに朝7時から日本語の勉強をして、趣味と仕事を兼ねたゴルフをするくらいで、とにかく仕事するのが苦にならない人なのだと思いました。入社までも競争、入社後も競争。私は無理だと思いました。

 

「足るを知る」というのは老子の言葉で「現状に満足し感謝する」という意味だと思いますが、上昇志向が強い人が多い韓国社会では、現状維持は悪とみなされる傾向が強いように感じます。たかがドラマですが、韓国社会の問題点がよく分かる面白いドラマだと思いました。

 

ドラマOST曲と私の感想

バトンタッチしてこの後は、また私が書きます^^

まず、ドラマOST曲を紹介します。

OST Part1『혼자였다(独りだった)』

OSTの中でこの曲が特に良かったです!

イ・ジョク(이적)という韓国の有名アーティストが歌いましたが、このドラマにピッタリでした。

曲のタイトルからジーンときました〜

 

OST Part2『나의 소년(私の少年)』

 

このドラマで、息子の話も少し描かれていましたが、最後の息子の恋愛話は要らなかった気がします。

そこはツッコミどころ(笑)

 

OST Part3『행진곡(行進曲)』

 

3つのOST曲のプレイリスト

 

3つのOST曲が全て明るい曲ではないですが

ドラマは基本明るく、コミカルです✨️

 

韓国ドラマ『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』

上司とのやり取りも、部下とのやり取りも、微妙な心理戦が垣間見えて面白かったです。

 

韓国ドラマ『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』

そして、工場で働いていた左の綺麗なお姉さんの

「밥먹자(ごはん食べよう)」の腹からの声が記憶に強く残っています。笑

 

『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』

もちろん感動するシーンも多かったです。

奥さん役の「ミョン・セビン(명세빈)」もとても良かったです。

ちなみに、夫が25年前に韓国でミョン・セビンのファンミーティングに行ったことがありますが、その時は出たばかりの頃だったのでファンが少なく、小さいカフェで行われたそうです。夫が唯一の日本人だったので、ミョン・セビンに話しかけられたりしたらしいです。

20代のミョン・セビンも綺麗でしたが、ドラマの中の50代のミョン・セビンはもっと綺麗でした^^

 

ソウル駅とロッテマート

先週、韓国に行ってきましたが、姉夫婦もこのドラマを見たそうです。

車の中でこのドラマの話をしていたら、義兄がOSTの『혼자였다(独りだった)』をかけてくれました。この曲を最近よく聞いているらしく。

姉夫婦はふたりとも韓国の大企業に勤めていますが、50代までいる人はほとんどいないと言っていました。

将来が不安らしいです。

 

プルコギと白菜で冬の簡単鍋レシピ

そういえば、この前の白菜プルコギ鍋を作った時も、このドラマを見ていました。

 

プルコギと白菜で冬の簡単鍋。韓国ドラマ

韓国ドラマを見て、良かったと思うものも時間が経つと忘れてしまうので、このように記録を残しておくといいですね^^

韓国の今を描いたものなので、日本の方は共感できないところもあると思いますが、いい作品なのできっと共感できるところも多いと思います。

興味のある方は見てみてください〜。

 

プルコギと白菜で冬の簡単韓国鍋レシピ

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