白菜のキムジャンキムチ
韓国はキムジャンキムチを漬ける季節です。
「キムジャン 김장」とは、ほぼ一年分のキムチを作る行事のことですが、秋の終わりから冬のはじめにします。キムジャンキムチと言うと、写真のように細かく切らずに1/2株・1/4株の大きさで漬けて熟成させて食べる白菜キムチのことを指します。
今回は、韓国の人気レシピ動画と合わせて、本場の作り方を分かりやすく紹介します。
基本のレシピからヤンニョムのアレンジまで、美味しい熟成キムチを作るために活用できる情報をお届けします。
基本が分かるレシピ2選
韓国の人気料理研究家のレシピ動画2つを紹介します。
全く性格の違う料理研究家のレシピですが、この2つの動画を見れば、基本となる作り方が分かってくると思います。
1株で。正統派キムチ料理研究家の作り方
韓国版『きょうの料理』にもよく出てくる有名なキムチ料理研究家のレシピ動画です。
伝統的な熟成白菜キムチ作りの基本がよく分かります。1株で作るので手軽ですし、練習用にもってこいの内容です。
分量などを正確に教えてくれるので、こちらを基準にして、自分好みにアレンジしていくのが良いと思います。(英語字幕はあります)
材料と調味料
- 白菜(3kg)1株
- 白菜の塩漬け
- 塩(粗塩・天日塩)300g
- 水2L
- 副菜
- 大根250g
- 梨1/4個
- ニラ50g
- 小ねぎ50g
- ◎ 粉唐辛子1カップ
- ◎ にんにく(みじん切り)75g
- ◎ 生姜(みじん切り)15g
- ◎ イワシの魚醤80g
- ◎ アミの塩辛20g
- ◎ 生の小エビ(※)50g
- ◎ 煮干しの粉末(※)小さじ1/2
- ◎ 昆布出汁(水でもOK)1/2カップ
- ◎ キムチのり1/2カップ
- 【副菜】大根は必須です。梨は甘さのために入れますが、砂糖やハチミツでも良いです。その他人気副菜は「セリ」「からし菜」です。
- 【◎ヤンニョム】キムチの味付けに入るものです。(※)はさらに美味しく作るためのもので必須ではないです。
- 【イワシの魚醤・アミの塩辛】キムチに入れる基本の魚醤です。韓国の魚醤について詳しくは調味料記事のリスト6番目を参考にしてください。イワシの魚醤(멸치액젓Amazonで検索)アミの塩辛(새우젓Amazonで検索)
レシピ
★他のレシピも、作り方はあまり変わらないので、下記レシピを一度目を通してから動画を見ると理解しやすいと思います。
- 1白菜を塩漬けします。白菜を半分に切り、芯のところに少し包丁入れをします。塩を溶かした水に10時間漬けます。3回程洗ってから水気を切ります。※漬ける時は切った断面を上にし、水切りをする時は切った断面を下にする
- 2昆布出汁とキムチのりを作り、冷ましておきます。昆布出汁は、煮出しでも水出しでも良いです。キムチのりは、鍋にもち米粉(小麦粉OK)と水を1:7の割合で入れて弱火でよくかき混ぜ、とろみが出たら完成です。※キムチのりは、ヤンニョムを野菜によく絡ませる+発酵を進ませるために入れる
- 3副菜とヤンニョムの下準備をします。大根と梨は2mmの千切りにし、小ねぎとニラは4cmの長さに切ります。生の小エビは、薄めの塩水で洗い、包丁で細かく刻みます。にんにく・生姜はみじん切りにします。
- 4ヤンニョムソを作ります。大根+梨+ヤンニョム◎をよく混ぜ合わせます。ニラと小ねぎも加えて軽く和えます。時間があれば30分ほどおいて熟成させます。※出来上がったものを「ヤンニョムソ 양념소」と言います。
- 5白菜に味付けします。白菜の白い部分の間にヤンニョムソをまんべんなく入れ、仕上げに外側の葉で切った端面を包み込んでから容器に入れます。完成です♪
- ・【容器に入れる時の注意点】切った端面を上にして容器に入れます。一番上に白菜の外側の葉(ポリ袋でもOK)を乗せ、空気が入らないように上から手で押します。
- ・【熟成期間】1日間常温保存、20日間冷蔵保存後、お召し上がりください。
塩漬けする時のTip
塩(粗塩・天日塩)の量は、白菜の重さの10%を基準にします。
塩の半分は水に溶かし、残りの塩は塩漬けされにくい白菜の白い部分に直接ふっていきます。そうすることで、まんべんなく塩漬けされます。(動画の1:30から漬け方を確認できます)
生の小エビ・煮干しの粉末
必須材料ではないですが、さらに美味しいキムチにするために、生の小エビ・煮干しの粉末を入れています。
「生の小エビ」を入れるとさっぱりとした深みのある味わいになるので人気のヤンニョム材料です。包丁で細かく刻んでヤンニョムに入れます。
「煮干しの粉末」は、フライパンに何も入れず炒めたうえで、ミキサーにかけるだけで良いです。
「黒いごま 小さじ1」も入れていますが、彩りを綺麗にするためのものなので、ヤンニョム材料から省略しました。
白菜を食べやすい大きさに
韓国では1/2株の大きさで漬けることが多いですが、食べやすい大きさにしたい場合は、1/4株で漬けても良いです。
動画の10:40から白菜に味付けする内容を確認できますが、1/2株で塩漬けしたものを半分の1/4株に裂いてから味付けをしています。一食で食べきる量にしたい場合は、1/4株でヤンニョムソを入れたものをさらに半分(1/8株)に切って保存しても良いとのことです~。
日本語字幕付き。ペクジョンウォンレシピ
簡単で美味しいレシピで韓国で人気のペクジョンウォンさんのレシピ動画です。ペクジョンウォンさんは料理研究家でもありますが、様々な飲食店を展開している経営者でもあります。
上記の料理研究家の方と全然作るスタイルが違いますが、アレンジできるコツなどを色々教えてくれます。
日本語字幕があるので、詳しくは動画からチェックしてください~!
材料と調味料
★ヤンニョムは、多めに作って白菜キムチ以外にも使っているので、分量は注意してください。
- 白菜3株
- 白菜の塩漬け
- 塩(粗塩・天日塩)3カップ~
- 水3L
- 副菜
- 大根1.5kg
- 小ねぎ700g
- からし菜1kg
- セリ200g
- 大根の葉、人参も少し
- ◎ 牡蠣1kg
- ◎ 粉唐辛子750g
- ◎ にんにく(みじん切り)500g
- ◎ 生姜(みじん切り)25g
- ◎ イワシの魚醤500g
- ◎ アミの塩辛350g
- ◎ 塩75g
- ◎ 砂糖200g
- ◎ 味の素大きさ2
- ◎ キムチのり(水1.5L+もち米粉100g+好みでダシダ大さじ2)
キムチのりを作る時に「牛肉出汁ダシダ」を少し入れても美味しいとのことです。ダシダ関連レシピ
大容量で白菜を漬ける時に入れる容器がない家庭も多いと思いますが、大きいビニール袋を使用するのは便利ですね!
残ったヤンニョムソで、他の野菜のキムチを漬けたりもしますが、塩漬けした千切り大根に牡蠣を和えて食べるのが一番人気です~。ペクジョンウォンさんは、動画の後半で北朝鮮式の水キムチなども作っていました。
韓国人主婦の人気レシピ3選
日本の家庭では20株以上の大容量でキムチを漬けるおうちがあまりないと思うので、3株、6株、12株でわりと少ない量で漬ける「ミニキムジャン」のレシピを中心に紹介します。
キムチ漬けの流れは、上記の基本レシピとほぼ一緒なので、ヤンニョムに入る調味料を中心にお届けします。アレンジするヒントになると思います。
3株でミニキムジャンをしてみよう
最初の写真からめちゃくちゃ美味しそうな白菜キムチです。
材料と調味料
- 白菜3株
- 白菜の塩漬け
- 塩(粗塩・天日塩)600g
- 水2L
- 副菜
- 大根(1/2個)870g
- 長ねぎ2本
- 小ねぎ200g
- ◎ 粉唐辛子350g
- ◎ にんにく(みじん切り)120g
- ◎ 生姜シロップ大さじ2
- ◎ イワシの魚醤(2種類)200ml
- ◎ アミの塩辛大さじ2
- ◎ 梅シロップ50ml
- ◎ 完熟柿2個
- ◎ 昆布出汁(2カップ)400ml
- ◎ キムチのり(1カップ)200ml
ヤンニョムに完熟柿を入れても美味しい
砂糖、梨を入れない代わりに、「潰した完熟柿」を入れています。柿もヤンニョムの人気材料です。
その他甘さは自家製「梅シロップ」「生姜シロップ」からも加えています。
白菜の水切りも大事
白菜を8時間塩漬けしています。塩漬けした白菜は、ヤンニョムがよく絡むように、1~2時間しっかり水切りしてくださいのとことです。
下記は白菜の浅漬けキムチのレシピですが、こちらの方のレシピ動画を参考に作ったものです。すぐ美味しい白菜キムチが食べたい方におすすめです。
基本材料で十分美味しくなる(6株)
韓国料理のレシピ動画で人気を誇る韓国人主婦の作り方です。
ヤンニョムには、色々入れすぎなくても基本ヤンニョム材料で十分美味しくなるとのことです。韓国で鰻屋さんをやっていたうちの伯母も同じことを言っていました。過ぎたるは猶及ばざるが如しですね。
材料と調味料
- 白菜6株
- 白菜の塩漬け
- 塩(粗塩・天日塩)(7カップ)1400g
- 水6L
- 副菜
- 大根(2個)1.7kg
- 小ねぎ800g
- からし菜750g
- 玉ねぎ小5個
- ◎ 粉唐辛子600g
- ◎ にんにく(みじん切り)480g
- ◎ 生姜(みじん切り)150g
- ◎ イワシの魚醤1L
- ◎ 生の小エビ600g
- ◎ ハチミツ(砂糖でもOK)380g
- ◎ キムチのり(もち米粉400g+2L)
生の小エビの代わりにアミの塩辛でもOK
今回はアミの塩辛を入れずに、生の小エビだけで作っていますが、「アミの塩辛」を入れる場合は、イワシの魚醤の量を減らしてくださいとのことです。
イワシの魚醤:アミの塩辛の比率は2:1が良くて、イワシの魚醤2/3L+アミの塩辛300gの量が良いそうです。
カクテキの下記レシピは、こちらの主婦のレシピ動画を参考に作ったものです。
本格キムジャンのレシピ(12株)
こちらもすごく人気の韓国人主婦のレシピ動画です。コンパクトな映像で分かりやすいです。
韓国では大量にキムチを漬けるので、こちらのレシピのように塩漬け済みの白菜を購入して作ることも多いです。
材料と調味料
ヤンニョムの中で◯はミキサーにかけて入れています。イワシの魚醤や出汁を少し入れてかけやすくします。
- 塩漬けした白菜(12~15株)40kg
- 副菜
- 大根3本
- 小ねぎ700g
- 長ねぎ500g
- からし菜1kg
- ◎◯ 大根3本分
- ◎◯ 梨1個分
- ◎◯ 完熟の柿3個分
- ◎◯ 生の小エビ4カップ
- ◎◯ アミの塩辛2カップ
- ◎ 粉唐辛子25カップ
- ◎ にんにく(みじん切り)4カップ
- ◎ 生姜(みじん切り)1カップ
- ◎ イワシの魚醤3カップ
- ◎ イカナゴの魚醤3カップ
- ◎ 出汁8カップ
- ◎ 梅シロップ4カップ
- ◎ キムチのり5カップ
大根をミキサーにかけてヤンニョムに
ヤンニョムには、梨・柿の果物と梅シロップを入れて甘さを、大根・生の小エビを入れてさっぱりとした味を、出汁で旨味を加えています。
大根をミキサーにかけてヤンニョムに入れると美味しいとすすめています。
魚醤について
こちらの方は、イワシの魚醤とイカナゴの魚醤を入れています。「イカナゴの魚醤 까나리액젓」は、イワシの魚醤より少し魚の癖が少ない魚醤ですが、熟成キムチを作る時はイワシの魚醤のほうがもっと人気です。
魚醤について詳しくは、こちらの調味料記事から確認してください。
イワシの魚醤も商品によって魚の臭みが強かったり弱かったり味わいに幅が広いので、色々使ってみて自分好みのものを見つけてくださいね!
今まで使ったイワシの魚醤では、上記調味料記事で私が手で持って写真を撮ったチョンジョンウォン(청정원)の商品が魚の臭みが気にならず良かったです。下記のソウル市場にも同じ商品が置いてありました。
鰻屋さんの伯母からもらった手作りの白菜キムチ。
ソウルの実家に帰って久しぶりに熟成キムジャンキムチを食べると、大げさな表現ですが魂が揺さぶれるくらい美味しいなと感じます^^
では、手作りの熟成キムチを漬ける時にぜひ参考にしてくださいね!