いわしの魚醤があれば、本格キムチも
イワシの魚醤は、韓国の熟成キムチによく使われるので、おうちで本格なキムチを漬けたい方におすすめです。
その他の料理でも活用できるので、よく使われる韓国料理とレシピを紹介します。
活用レシピの前に、イワシの魚醤の作り方や、日本と韓国の魚醤についてお届けします。
韓国の人気魚醤、いわしの魚醤とは
イワシの魚醤、イワシエキスのことを韓国語では、멸치 액젓(ミョルチ エクジョッ)と言います。
写真の瓶に「멸치 ミョルチ」と大きく書いてありますが、イワシの意味。ちなみに、韓国では、煮干し、ちりめんじゃこ、いりこのことも同じくミョルチと言います。
その下に小さく書いてある「액젓 エクジョッ」は魚醤の意味です。
魚醤とは、塩漬けした魚を発酵させてから、こしたもの。塩辛より発酵期間が長く、形がほぼ無くなるまで発酵させます。
5年くらい前に韓国のスーパーで撮った写真です。
キムチを作る時によく使われるので、日本と違って韓国のスーパーには魚醤がずらりと並んでいます。
会社の商品によって味と匂いが少しずつ違いますが、個人的には、上記写真の魚醤(ハソンジョン 하선정)より、手で持って写真を撮った魚醤(清浄園 청정원)のほうが癖が少ないと感じました。
あと、こちらの記事でも紹介しましたが、新大久保のスーパーでも売っています。
韓国で主に使われる魚醤
韓国人がよく使う魚醤として、イワシの魚醤の他、イカナゴの魚醤(까나리 액젓)もあります。
写真の瓶に、大きく「까나리 カナリ」と書いてありますが、イカナゴの意味です。
イワシの魚醤に比べたら、癖が少なく、少し甘みがあります。韓国のイワシの魚醤の匂いが苦手な方はこちらを試してみても良いと思います。
キムチは熟成によって魚醤の癖が消えつつ美味しさに変わりますが、癖が少ないイカナゴの魚醤は熟成しなくても良い即席キムチや、浅漬けキムチを作る時によく使われます。
醤油の代用として幅広く使われることが多く、ナムルや韓国式茶碗蒸しなど塩辛くない料理にも人気です。
この2つの魚醤以外に、アミの塩辛(새우젓)もキムチ調味料として人気ですが、下記の記事にも紹介したので参考にしてください!
日本のイワシ魚醤について
ずっと韓国の魚醤で使っていましたが、最近日本の魚醤を使い始めました。
写真は、石川県の特産品で「よしる」というイワシの魚醤です。日本の三大魚醤の一つらしいです。
日本の魚醤については、こちらの記事が分かりやすかったですが、三大魚醤について簡単にまとめると、
- 秋田のしょっつる:一番有名。ハタハタやイワシが原料。魚の生臭さが抑えられ、すっきりとした味
- 香川のいかなご醤油:イカナゴが原料。塩分が強め
- 石川のいしる・よしる:真イカの内臓を使ったものが『いしる』、イワシを使ったのが『よしる』
しょっつるにもイワシが入ってはいますが、イワシ100%で作る魚醤は、写真の「よしる」だけだったのでこれにしました。
サバも入っているという記事を見かけましたが、商品の原材料表記には「いわし、食塩、米麹」この3つが書いてあります。塩分の濃度は、韓国の魚醤と同じく「23%」です。
イワシ魚醤「よしる」を初めて知ったのは、↓埼玉にある発酵食品のお店に行った時でした。
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ここでは「いしる」という名前で売っていました。地方や会社によって名前が違うらしくて、私が使っている「よしる」と同じ商品とのこと。
お店の名前は「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!」というちょっと変わった名前ですが、発酵食品に興味のある方はぜひ〜。お店の公式サイトはこちら
イワシ魚醤「よしる」を使ってみた感想
魚醤の蓋をあけた時、魚醤の匂いがふわっと。でも、韓国の魚醤よりは強烈な匂いではない気がします。
味も韓国のものよりは癖が少ない感じです。
よしるで初めて作った料理は、大根の千切りキムチ。こちらのレシピから少し調整。
即席キムチとして食べましたが、魚醤の癖が気にならなく美味しかったです。
大根葉っぱたっぷりのカクテキにも入れてみました。こちらのレシピから少し調整。
まだ熟成中なので、少しだけ食べましたが、やっぱり韓国の魚醤よりは癖がない感じです。癖が少ないところは、韓国のイカナゴの魚醤に近いかもしれません。
キムチチゲにも入れてみましたが、すごく美味しかったです。魚醤の匂いに敏感な夫も美味しく食べていました。
なので、韓国のイワシの魚醤を使ってみたけど、匂いや味が魚臭くて苦手だった!という方におすすめしたいです。
よしるのような日本のイワシの魚醤は、お刺し身につけて食べるなど、本当に醤油の代用という使い方がよく紹介されているので今度試してみたいです。
韓国の魚醤はそのような使い方が私が知ってるかぎりないですが… 今度チャレンジしてみようかな^^;でも食卓にそのまま置く瞬間、夫に臭いと言われそうです。
一方、韓国の魚醤で作るキムチのヤンニョムが美味しいと感じている方は、癖が少ない日本の魚醤に物足りないと感じる人もいるかもしれません。
いわしの魚醤の作り方
作り方は日本も同じ流れですが、韓国の映像と合わせて紹介します。
まず、① 塩漬けをしてほぼ汁になるまで十分熟成させてから、② 加熱(またはそのまま)後、こすだけの流れです。
作り方を言葉にすると簡単ですが、発酵食品なので時間と努力が必要ですね…下記動画を見ると。
① イワシを塩漬けする
伝統的な作り方で作る映像です。
綺麗にしたイワシを塩漬けし、壺(항아리 ハンアリ)に入れます。日向に置いて1年間熟成させます。
自家製で作る際に、1:3など塩の量を少なめにするおうちも多いですが、日向で熟成させる際に塩分が少ないと腐敗しやすいため、動画のレシピは、イワシと同じ量で1:1でした。
美味しく熟成させるために、空気はなるべく入らないように入れてから、上には塩をたっぷり。
動画で話をしているおじさんのオモニ(お母さん)と奥さんのオモニが力を合わせて作っています。仲がいいんですね^^
② 加熱(またはそのまま)後、こす
熟成させたものは、十分加熱してから、澄んだ汁が出るようにこし器やこし紙を使ってこします。
加熱する際に、水を追加して好みの塩加減に調整できます。
加熱する時は匂いがすごいから外で^^
加熱時間は特に決まってなく、骨だけ見えるようになる時まで煮ればいいみたいです。
最後にこした汁が澄んでいて綺麗でした〜!
韓国では、加熱すると魚の臭みがなくなって美味しいとのことでこの作り方が定番のようですが、加熱せずそのままこす作り方もあります。
いわしの魚醤の使い方+韓国料理レシピ
では、韓国人がイワシの魚醤を活用してよく作る韓国料理レシピを紹介します。
No.1 キムチ、漬物
白菜キムチやカクテキなど、全てのキムチに、イワシの魚醤を使っても良いですが、即席キムチよりは熟成キムチのほうでよく使われます。
特にイワシの魚醤が人気のキムチは、ネギキムチです。
ネギの風味がイワシの魚醤がよく合うので美味しいです。
写真は、切ってあえるだけの簡単即席レシピ。もっと本格な感じで作りたい方は、切らずに漬けて十分熟成させてください。
サムギョプサルなどお肉料理にもよく合いますし、ご飯泥棒です!
No.2 キムチチゲ
韓国で食べたキムチチゲの味が出ないな〜という方はイワシの魚醤をぜひ入れてみてください。
あとを引く美味しいスープになります!
日本の市販キムチで作ったキムチチゲも、かなり本格味に変わるのでおすすめです。
ツナ入りのキムチチゲや、スンドゥブチゲ、ブデチゲにもぜひ。
No.3 わかめスープ
わかめスープにも、イワシの魚醤を入れる韓国人が多いです。
魚醤なので、故郷(?)が同じワカメの出汁ともよく合います!
私は美味しいと思いますが、匂いに敏感な夫はちょっと気になるみたいで…
味の濃いチゲに比べると、魚醤の味が感じやすいと思うので、魚醤の匂いが苦手な方はだめかもしれませんが、ぜひ試していただきたいです。
No.4 お魚の煮付け、チョリム
魚で作る魚醤だけに、お魚料理にもよく合います。
韓国のお魚の煮付け料理には、基本粉唐辛子が入りますが、魚の臭みが感じにくく美味しいです。
煮付け、煮物のように煮詰める料理のことを「チョリム 조림」と言いますが、味が濃いチョリム料理(レシピ一覧)にイワシの魚醤を活用する人も多いです。
日本のイワシ魚醤の使い方を調べてみたら、焼き魚を作る際に、魚の表面に魚醤を塗ってから焼いても美味しいらしいので、今度試してみようと思います。
No.5 ゼンマイナムル
ナムルの中では、特にわらびナムルに魚醤を入れるのが人気です。
写真は、わらびではなく、ゼンマイで作ったものですが、醤油を減らして魚醤を少し入れてみてください。
韓国では癖の少ないイカナゴ魚醤のほうを入れるのが特に人気なので、マイルドな日本の魚醤でも試してみたいです。
No.6 カルグクス(うどん)、鍋物
韓国のうどん=カルグクスのスープの味付けにも、魚醤入りが人気です。
隠し味で少し入れることで、スープにコクがあって美味しいです。
日本の魚醤の使い方として、うどんや鍋物のスープに入れるのがよく紹介されているので、共通していますね。
思い浮かぶ料理はこのくらいですが、忘れている料理がありましたら、また追加します。
魚醤の匂いが苦手!おすすめの料理は
Instagramで「イワシの魚醤の匂いが気にならない料理」についてコメントを頂きましたが、キムチか、キムチチゲなどのチゲ料理が一番おすすめです。
味が濃く、にんにくやネギなどのヤンニョムに魚醤の匂いが紛れるので、魚醤の匂いに敏感な夫にも文句を言われなかったです^^;
また、キムチは熟成させると、魚醤の匂いが薄れていくので、即席で食べてみてやっぱり気になる!と思う方は冷蔵庫で長期熟成させてみてください。
最後に+Blog
日本のイワシの魚醤で作ったキムチ、さっぱりと美味しかったです^^
ダイエットお粥に添えて食べたり、ラーメンと一緒に食べたり♪
あと、イワシ魚醤「いしる」の隣にあったイカの魚醤「いしり」で作るキムチも美味しそうだなと思いました。
韓国では、熟成キムチのヤンニョムに、イカの塩辛を入れたりもするので。
イワシ魚醤を見かけたお店は、できてあまり経ってない感じで、すごく綺麗でおしゃれでした。
天覧山のすぐ隣にありましたが、下記Blogにも行ってきた話を書いたりしました。
天覧山に行ってきました。発酵食品のOH!!!も(日常Blog)
まだ、日本のイワシの魚醤を使ってみた経験値が足りないですが、キムチを漬けてみて美味しかったので早めに紹介を^^
イワシの魚醤を購入したい方にも参考になれば嬉しいです。
動画のオモニが言っていたように、魚醤で料理の味がかなり変わったりするので、お好みの魚醤が見つかると良いですね!